脆弱性診断とは?企業が今知るべきセキュリティ対策と実施メリットを徹底解説

2024年7月26日(金)2025年12月24日(水)
脆弱性診断という言葉は知っていても、「結局、うちの会社は何をすればいいのか」「費用対効果は本当にあるのか」と迷っているご担当者さまは多いと思います。

今回は「脆弱性診断とは?」を軸に、企業が押さえるべき基礎・種類・リスク・導入タイミング・進め方までをご紹介します。

ぜひ参考にしてみてください!

脆弱性診断とは?

まずは、「脆弱性診断とは何か?」という基本からご説明していきます。

脆弱性(セキュリティ上の弱点)とは

「脆弱性」とは、システムやWebサイト、アプリケーション、ネットワーク機器などに潜むセキュリティ上の弱点のことです。

原因はさまざまですが、主に次のような要因から生まれます。

  • 設計ミス・仕様の抜け漏れ
  • 実装時のプログラムミス(バグ)
  • 設定不備(初期パスワードのまま、不要なポートが開いている など)
  • アップデートやパッチの未適用
  • 運用ルールの不備やヒューマンエラー
こうした脆弱性を攻撃者に悪用されると、

  • 外部からの不正アクセス
  • 顧客情報・社内情報の漏洩
  • データ改ざんやサービス停止
  • ランサムウェアなどマルウェア感染
などといった重大なインシデントにつながります。

見た目上は問題なく動いているシステムでも、内部にほころびがあれば、いつ狙われてもおかしくありません。
そのほころびを事前に見つけるのが脆弱性診断です。

脆弱性診断は「システムの健康診断」

脆弱性診断とは、システムの弱点を事前に洗い出すためのセキュリティ診断です。
今は問題なく動いているように見えても内部では、将来大きなトラブルにつながる予兆が隠れている可能性があります。

脆弱性診断では、攻撃者の視点で擬似的な攻撃やチェックを行い、

  • どこに脆弱性があるのか
  • もし攻撃された場合、どこまで被害が広がりうるか
  • どの対策を優先すべきか
を可視化していきます。

脆弱性診断が必要とされる理由

次は「なぜ今、脆弱性診断が必要なのか」をご紹介します。
脆弱性診断は今や企業継続の前提になりつつあります。

情報漏洩・不正アクセスの主要原因は「既知の脆弱性」

ニュースで見るような大規模インシデントの多くは「すでに知られていた脆弱性を放置していた」下記のようなケースが少なくありません。

  • 公開済みの脆弱性情報に対するパッチを適用していなかった
  • サポート切れOS・ソフトウェアをそのまま使い続けていた
  • 設定不備(アクセス制御、認証まわり)がそのまま放置されていた
攻撃者は、こうした弱点をインターネット上で機械的に探し続けています。
つまり、「自社が狙われた」というよりも「たまたま穴が空いていた場所が、自社だった」というイメージに近いです。
脆弱性診断はこのような弱点を早い段階で洗い出し、攻撃の入口をふさぐための現実的なセキュリティ対策だと言えます。

企業が被る損害(経済的・信頼・法的リスク)

万が一、脆弱性を突かれて情報漏洩やサービス停止が発生すると被害はかなり大きいものとなります。

  • 経済的損失
    システム復旧・原因調査・外部専門家の費用
    損害賠償・お詫び対応・コールセンター増設 など
  • 信用・ブランドの失墜
    顧客離れ・解約の増加
    取引先からの監査強化や新規取引の見送り
  • 法的・コンプライアンス上のリスク
    個人情報保護法などへの対応
    監督官庁や業界団体への報告・改善要求
特に中小企業の場合、一度大きな情報漏洩を起こすと、売上回復や信頼回復に長い時間がかかることが多く、事業継続そのものが危うくなるケースもあります。
「今問題が起きていないから大丈夫」ではなく、「起こしてはいけないからこそ、事前に対策が必要」なのです。

攻撃手法の高度化(1日で攻撃される“ワンデイ脆弱性”)

また近年は攻撃手法そのものも大きく変化しています。

公開されたばかりの脆弱性情報をもとに自動的に攻撃コード(エクスプロイト)が生成され
インターネット上の多数のサーバーや機器に一斉スキャン・攻撃するといった「スピード重視の攻撃」が一般的になりつつあります。
公開から短期間で悪用されるこうしたケースは「ワンデイ脆弱性」と呼ばれます。

さらに、生成AIなどの技術が攻撃コードの作成や手法の自動化に使われる懸念も出てきています。
 「パッチをそのうち当てるつもりだった」という数週間・数ヶ月の遅れが、致命的なリスクになる時代です。

脆弱性診断はこうした高速化した攻撃サイクルの中で、自社の「今のセキュリティ状況」を定期的に把握するための手段といえます。

脆弱性診断の種類と方法

ここでは脆弱性診断の代表的な種類とその違いをご紹介していきます。
「どの診断を選ぶべきか」を判断するための前提知識として押さえておきましょう。

自動診断(ツール診断)とは

自動診断(ツール診断)は専用のソフトウェアやクラウドサービスを用いて、システムを機械的にスキャンする方法です。

特徴・メリット

  • 広範囲を短時間でチェックできる
  • 定型的なチェック項目に強く、網羅性が高い
  • 比較的低コストで導入しやすい
  • セキュリティの専門知識がなくても、ある程度は実施可能
注意点

  • システムの構造が複雑な場合、誤検知・見落としのリスクがある
  • 診断結果(レポート)を正しく読み解くには専門知識が必要
  • 理論上の脆弱性の検出が中心で、実際にどこまで攻撃されるかまでは見えにくい
スピードとコストを重視しつつ、まずは全体像を把握したい企業に向いていますが、自動診断だけで「大丈夫」と判断するのは危険です。
初めて診断を受ける中小企業や一般サイトでは自動診断、ECサイトや顧客情報を扱う企業には手動診断が適しています。

手動診断(専門家による診断)とは

手動診断はセキュリティエンジニアが実際にシステムやWebアプリケーションを操作しながら脆弱性を検証する方法です。

特徴・メリット

  • システムの仕様・業務フローを理解した上で、柔軟な検証が可能
  • 自動ツールでは検出しにくい、複雑な脆弱性や組み合わせ攻撃にも対応
  • 実際の攻撃シナリオに沿って「どこまで侵入されるか」を評価できる
注意点

  • 診断に時間がかかる(対象範囲によっては数週間〜のケースあり)
  • 専門家の工数が必要なため、自動診断に比べると費用は高め
また、実施方法には大きく分けて以下の2パターンがあります。

  • ブラックボックス診断:内部構造を知らされない状態で、外部から攻撃者として診断
  • ホワイトボックス診断:ソースコードや設計情報を共有した上で、内部構造も考慮して診断
「自社のシステムをどこまで開示できるか」、「どこまで深く診てほしいか」によって最適な組み合わせは変わってきます。

Webアプリ・クラウド・端末など対象による違い

脆弱性診断は対象によっても内容が変わります。

  • Webアプリケーション診断
    ECサイト・会員サイト・予約システムなどが対象
    入力フォーム・ログイン機能・決済機能などに対する攻撃を想定
  • プラットフォーム診断(サーバー・ネットワーク診断)
    OS、ミドルウェア、ネットワーク機器などが対象
    不要ポート・古いバージョン・設定不備などをチェック
  • クラウド環境診断
    IaaS/PaaS/SaaS の設定・アクセス制御の確認
  • エンドポイント(PC・スマホなど端末)のセキュリティ診断
    テレワーク環境での端末管理、不正ソフトウェアの有無など
「脆弱性診断」と言ってもどこを、どこまで診るのかによって内容は大きく異なります。
 自社のシステム構成やリスクがどこにあるのかを整理した上で、対象範囲を決めましょう。

脆弱性診断でわかること(攻撃例と改善ポイント)

ここからは脆弱性診断を行うことで「具体的に何が分かるのか」をイメージできるように整理していきます。

攻撃の入口(インプット・ログイン・APIなど)

攻撃者が狙うのは下記のようなユーザーや外部システムとの接点です。

  • フォーム入力欄(お問い合わせ、ログイン、検索など)
  • 認証・ログイン機能
  • ファイルアップロード機能
  • 外部連携API
  • 管理画面へのログインURL
脆弱性診断ではこうした箇所に対して「不適切な入力チェックがないか」、「想定外の操作で権限が突破されないか」、「URLやパラメータ書き換えで情報が取得されないか」といった観点から擬似攻撃を行います。
診断結果を見ることで「どの入口が特に狙われやすいのか」が明確になります。

発見された脆弱性から何がわかるのか

診断結果では一般的に次のような情報が提示されます。

  • 検出された脆弱性の内容(名称・詳細)
  • 影響範囲(どんな情報・機能に影響するか)
  • 危険度のレベル(高/中/低 など)
  • 想定される攻撃シナリオ
  • 推奨される対策内容
これにより単に「問題がある/ない」だけでなくどの脆弱性から優先的に対策すべきか
、どのシステム(サービス)がビジネス的に最も重要かといった現実的なセキュリティ対策の優先順位づけができるようになります。

診断後に行うべき改善サイクル

脆弱性診断は「受けて終わり」ではなく、その後の改善にどれだけつなげられるかで決まります。

一般的なサイクルは次の通りです。

  1. 診断結果の共有・理解
    IT部門だけでなく、必要に応じて開発部門・経営層とも共有
  2. 対策の優先順位決定
    影響範囲・ビジネス重要度・修正コストを踏まえて計画を立てる
  3. 具体的な改修・設定変更
    開発ベンダー/社内エンジニアとの連携がポイント
  4. 再診断・フォローアップ
    修正箇所が適切に反映されているかを再確認
ここまでを一連の流れとして回していくことで、「診断しっぱなし」ではない、実効性のあるセキュリティ対策になっていきます。

脆弱性診断を導入するタイミング

では脆弱性診断はどのタイミングで実施するべきでしょうか?
ここでは代表的な3つのタイミングをご紹介します。

新システム導入・リニューアル時

  • 新しいWebサービス・会員サイト・社内システムをリリースする前
  • 既存システムの大幅なリニューアル・機能追加を行った後
このタイミングは設計変更やコード追加によって、新しい脆弱性が紛れ込みやすいフェーズのため、本番公開前の「最終チェック」としての脆弱性診断は非常に効果的です。
開発工程の後ろに行くほど修正コストは高くなるので、早い段階から診断を組み込むことで結果的にコスト削減にもつながります。

定期的な診断(半年〜1年ごと)

  • サーバーやミドルウェアのバージョンアップ
  • 運用設定の変更
  • 新たな脆弱性情報の公開
上記のような要因により、システムは時間の経過とともに変化していきます。そのため、半年〜1年に一度を目安とした定期的な脆弱性診断が理想的です。

特に金融・EC・医療など個人情報や決済情報を扱う業界では定期診断を徹底しておくのがおすすめです。

セキュリティ事故(情報漏洩/改ざん)後の再点検

万が一、以下のようなインシデントが発生した場合は表面的な復旧だけでなく、根本原因の把握と再発防止を行わなければなりません。

  • Webサイトの改ざん
  • 不正アクセスの痕跡
  • 不審なメール送信やアカウント乗っ取り
「どこから侵入されたのか、どの脆弱性が悪用されたのか、どこまで被害が広がりうるのか」を整理し、二度と同じことを起こさないように今後に備える意味もあります。

脆弱性診断の費用・期間・進め方

ここからは実際に脆弱性診断を検討する際に気になる、費用感・期間・進め方を簡単にご紹介します。

一般的な費用感(幅だけ)

脆弱性診断の費用は、下記の要素によって大きく変動します。

  • 診断対象の種類(Webアプリ、サーバー、クラウド、ネットワークなど)
  • 画面数・機能数・URL数
  • 実施方法(自動診断のみか、手動診断を含むか)
  • ブラックボックス/ホワイトボックスの別
  • 報告書や改善支援の範囲
そのため、費用を断定することはできませんが、中小〜中堅企業のWebアプリケーション1本を対象とした診断でも、数十万円規模になるケースが一般的です。

ただ重要なのは金額だけで比較するのではなく、

  • どこまでの範囲を診てくれるのか
  • 診断後のフォロー(改善提案・再診断など)は含まれるか
  • 自社のリスクと費用が見合っているか
といった観点で検討することです。

診断の流れ(事前準備〜報告書〜改善まで)

一般的な脆弱性診断の進め方は下記のような流れになります。

  1. 事前ヒアリング・要件整理
    システムの概要・構成・利用状況をヒアリング
    診断の目的(例:新サービス公開前のチェック、監査対応 など)を共有
    診断範囲・スケジュール・費用の見積もり

  2. 診断の実施(自動診断+手動診断など)
    合意した範囲に対し、ツールを用いたスキャンや専門家による検証を実施

  3. 結果の分析・報告書作成
    検出された脆弱性の一覧
    影響度・優先度の評価
    推奨される対策内容の整理

  4. 報告会・改善提案
    IT担当者様・開発ベンダー様を交えた報告会
    実現可能な対策案・優先順位を一緒に検討

  5. 改善対応・再診断(必要に応じて)
    修正後に限定的な再診断を行い、対策の有効性を確認
初めて脆弱性診断を受ける企業にとっては不安も大きいと思いますが、信頼できる診断パートナーを選べば、専門知識がなくても一歩ずつ進めていくことできます。

DIT Securityの脆弱性診断の特長

DIT Securityが提供する脆弱性診断サービスの特長を簡単にご紹介します。
「自社だけで判断するのは不安」という企業様に寄り添った体制が特徴です。

自動診断+手動診断のハイブリッド

DIT Securityでは自動診断ツールとセキュリティエンジニアによる手動診断を組み合わせたハイブリッド型の脆弱性診断を提供しています。

ツール診断で広く・漏れなくチェックしつつ、重要な画面や機能は専門家が個別に検証するなどコストと精度のバランスを取りながら診断を実施できます。
 「予算の制約はあるが、最低限ここだけはしっかり診てほしい」といったご要望にも柔軟に対応可能です。

業界・規模に応じた最適プラン提案

金融・EC・医療・製造・教育機関など、DIT Securityはさまざまな業種・業態の脆弱性診断に携わってきました。

その実績をもとに、

  • 中小企業〜大企業までの規模感
  • 法規制・業界基準への対応状況
  • 社内にどこまで専門人材がいるか
といった要素も踏まえたうえでお客様にとって現実的なセキュリティ対策をご提案します。

まとめ

脆弱性診断について「何から手をつければいいか分からない」という段階でも大丈夫です。
むしろ、そのタイミングで相談いただく方が、ムダなセキュリティ投資を避けつつ、効果的なセキュリティ対策を組み立てやすくなります。

DIT Securityでは初めての脆弱性診断をご検討中の企業様にも分かりやすいご説明と最適なプラン提案を心がけています。

「自社にはどんな脆弱性診断が合うのか知りたい」という方はまずはお気軽にご相談ください。

執筆者情報

長谷川敬一のプロフィール写真

ITセキュリティ事業部 ソリューション営業部 部長

長谷川 敬一(はせがわ けいいち)

業界歴35年以上。インターネット黎明期より数々の有名サイトの構築・運営に携わる。自身が運営した大規模サイトでサイバー攻撃による被害を経験したことをきっかけに、サイバーセキュリティ分野へ転身。現在は、企業向けにセキュリティコンサルティングや導入支援を中心とした活動を行い、豊富な経験と実績を活かして多くの企業の情報資産を守っている。