Webアプリケーションの脆弱性診断とは?|SQLインジェクション・XSS対策も解説

2024年7月26日(金)2025年12月24日(水)
Webアプリケーションは顧客接点や業務の中核を担う一方で、攻撃者にとっても「侵入口が見つけやすい」領域です。

この記事ではWebアプリケーションの脆弱性診断の基本から狙われやすい箇所、診断の進め方、診断後に行うべきセキュリティ対策までを、初心者にも分かるように解説していきます。

脆弱性診断の基本(種類・進め方)を先に押さえたい方は「脆弱性診断とは?企業が今すぐ始めるべきセキュリティ対策を解説」をご覧ください。

なぜWebアプリケーションに脆弱性診断が必要なのか

Webアプリケーションには「入力・認証・権限」など、攻撃が成立しやすいポイントが複数あります。
ここでは、なぜWebアプリ運用において脆弱性診断が欠かせないのかを整理していきましょう。

Webアプリは「入力」「認証」「権限」が狙われやすい

Webアプリはフォームや検索、ログインなど、外部からデータを受け取る場面が多く、攻撃者にとっての「入りやすい入口」が豊富にあります。

加えて、ログイン機能やマイページ、管理画面のように権限を扱う機能があるほど、突破されたときの影響も大きくなります。
特に「入力をどう処理するか」「ログイン後に何を許可するか」といった設計・実装の差がそのままリスク差になります。表面上は正常に動いていても、想定外の入力や操作を与えられると、弱点が露出するケースは珍しくありません。

対策ツールだけでは作り込みの穴は見つけにくい

WAFやエンドポイント対策などのツールは有効ですが、ツールだけですべてのリスクを見つけきるのは難しいのが現実です。
Webアプリの脆弱性には「この画面遷移のときだけ起きる」「特定の権限ロールのときだけ成立する」など、仕様と実装の組み合わせで表れるものがあるからです。

つまり、守りを固めることと同時に、そもそもアプリ側にどんな弱点が潜んでいるかを確認しておく必要があるのです。その確認手段として、おすすめなのがWebアプリケーションの脆弱性診断です。

脆弱性診断でリスクを可視化し、優先順位を決められる

脆弱性診断の価値は単に「問題がある / ない」を判定することではありません。
一番の強みは診断を通して「どこが狙われやすいか」「被害が大きくなりうる箇所はどこか」を把握し、対策の優先順位をつけやすくできることです。

セキュリティ対策はやろうと思えば無限に行うことができます。
だからこそ、診断で現状を見える化し、限られたコストと時間を重要ポイントに集中させることが必要になってくるのです。

Webアプリで狙われやすい脆弱性の代表例

次に、Webアプリで特に狙われやすい代表的な脆弱性を紹介していきます。

SQLインジェクション

SQLインジェクションは入力欄などから不正な文字列を送り、データベースへの問い合わせ(SQL)を意図せず操作させる攻撃につながる攻撃で、顧客情報や会員情報など、重要データが参照・改ざんされるリスクが高まります。

Webアプリの入力処理や検索機能、ログイン周辺の実装に不備があると発生しやすく、影響が大きいため優先度が高い項目です。診断では入力値の扱い方や想定外の入力に対する挙動を確認し、攻撃が成立する条件がないかを検証します。

検索フォーム・ログイン・会員登録・管理画面の検索機能など、DBと連携する画面は注意が必要です。特に「検索条件が多い」「絞り込みが複雑」な画面は実装ミスが入りやすい傾向があります。

XSS(クロスサイトスクリプティング)

XSSはフォームやURLパラメータなどに悪意あるスクリプトを混入させ、ユーザーのブラウザ上で意図しない動作を起こさせるものです。これにより、フィッシング的な誘導や、利用者のセッション情報の悪用につながる可能性があります。

「入力した内容を画面に表示する」機能があるほどリスクは高まり、お問い合わせフォームの確認画面、コメント欄、プロフィール編集などは特に注意が必要です。

XSSは「画面がちょっと崩れる」程度に見えることもありますが、利用者の信頼を損なう要因になり得ます。サイトが改ざんされたように見えたり、偽の入力フォームに誘導されたりすると、被害は利用者側にも広がります。
Webアプリの品質と信用を守る観点でも、早期に検出して対策しておくことが重要です。

認証・セッション不備(なりすまし/権限昇格につながる)

認証やセッション管理の不備は「本来見えないはずの情報が見える」「他人になりすませる」といった深刻な被害につながります。ログイン周辺は機能が複雑になりやすく、仕様追加のたびに例外が増えがちな領域です。

例えば、パスワードリセット機能やログイン状態の維持、二要素認証の導入などの変更があると意図しない穴が生まれることがあります。診断では、認証の流れやセッションの扱いを確認し、権限の境界が破れていないかを検証します。

CSRF・入力値検証の不備(“意図しない操作”を起こすリスク)

CSRFは利用者がログインした状態のまま、意図しない操作を実行させられるリスクを指します。
メールや外部サイトをきっかけに設定変更や送信処理が実行されてしまうと、被害が正規ユーザーの操作に見えて気づきにくいこともあります。

また、入力値検証の不備はデータ改ざんや想定外の処理につながり、サービス品質の低下や不正利用の温床になります。対策の方向性は複数あるため、診断結果に沿って優先順位をつけていきましょう。

Webアプリ向け脆弱性診断の方法

ここではWebアプリ向けの診断方法を説明します。
ツール診断・手動診断の違いに触れつつ、Webアプリならではのポイントを押さえていきましょう。

ツール診断(自動診断)でできること・できないこと

ツール診断(自動診断)はWebアプリの画面やURLに対して機械的にスキャンを行い、既知のパターンに基づいて脆弱性の可能性を洗い出す方法です。短時間で広範囲を確認できるため、まず全体の当たりをつけたい場合に向いています。

しかし、Webアプリの機能が複雑でログインが必要だったり、画面遷移が多かったりする場合はツールだけでは網羅するのが難しくなります。また、結果の解釈(誤検知の判別や危険度評価)には一定の知識が必要です。

ツール診断は便利ですが「ツールだけで完結させる」よりも、必要に応じて専門家の視点を組み合わせる方が実務上は安全です。

手動診断で分かるビジネス影響の大きい穴

手動診断はセキュリティの専門家がWebアプリの仕様や画面の動きを確認しながら、攻撃者視点で検証する方法です。ツールでは拾いにくい権限の抜けや、画面遷移をまたいだ不正操作など、実務上影響の大きいポイントを見つけやすい特徴があります。

また、手動診断は「発見」だけでなく、結果を踏まえて「何を優先すべきか」を整理しやすい点も強みです。経営層・事業部との合意形成が必要な場合でも、危険度と影響範囲を言語化しやすくなります。
もちろん工数はかかりますが、その分、安心と心強さを確保できるでしょう。

診断の前に準備しておくとスムーズな情報(範囲・アカウント・テスト環境など)

脆弱性診断は準備の質でスムーズさが大きく変わります。
特にWebアプリでは、ログインアカウントの用意や診断対象範囲の合意が重要です。対象が広すぎると期間と費用が膨らみやすく、狭すぎると重要箇所が漏れるリスクが出ます。

一般的には利用者が多い機能や個人情報・決済情報など重要データに触れる機能を優先し、段階的に範囲を広げる考え方が現実的です。テスト環境の用意や診断中の影響を最小化する調整も含め、事前に相談しながら進めていきましょう。

業務でよくあるWebアプリ別:リスクと対策の考え方

この章ではWebアプリの代表的なシーン別に「どこが危なくなりやすいか」などを整理していきます。

会員サイト(ログイン・マイページ)で起きやすいリスク

会員サイトで重要になるのは認証・権限・個人情報の取り扱いです。
例えば、URLやパラメータを変えただけで他人の情報にアクセスできてしまうような不備があると情報漏洩に直結します。

また、パスワードリセットやメールアドレス変更などの導線は実装が複雑になりやすく、攻撃者に狙われやすい領域です。
脆弱性診断ではこうした利用者目線で当たり前に使う機能が、攻撃者に狙われてしまわないかを確認します。

会員サイトはユーザーとの信頼が基盤なので、定期的な診断と改善サイクルを前提に設計しておくのがおすすめです。

EC・予約・申込フォームで注意すべきポイント

ECや予約、申込フォームなどは入力項目が多く、外部連携(決済・メール・在庫等)が発生しやすい分、攻撃面も広がります。入力値の検証が甘いとSQLインジェクションやXSSといった代表的な脆弱性が入り込みやすくなります。

また、注文・申込など状態が変わる処理は、意図しない操作(CSRFなど)に弱い場合があり、ユーザー・事業者双方に影響を与える可能性があります。
「入力がある=リスクがある」と捉え、重要導線から優先的に診断する方針がおすすめです。

管理画面が狙われた時の影響と守り方

管理画面は少ない操作で多くのデータを扱えるため、突破されたときの被害が非常に大きくなります。投稿の改ざん、ユーザー情報の抽出、権限の変更など攻撃者が狙う理由が明確な領域です。

管理画面は一般公開されないから安全というわけではありません。
推測されやすいURLや弱いパスワード、権限設計の甘さなどが重なると突破の足がかりになります。
脆弱性診断では、管理画面へのアクセス制御や、権限境界のチェックを重点的に行うことで、実害を防ぐ可能性を高められます。

管理画面は最後の砦になりやすいので、公開範囲が狭くても優先順位は高めに置くのがおすすめです。

脆弱性が見つかった後にやるべきセキュリティ対策

診断結果が出た後、どう動けばよいかが分からず止まってしまうこともありますよね?
ここでは「診断→改善→再発防止」の流れをご紹介します。

優先順位づけ(危険度×影響範囲×悪用されやすさ)

脆弱性が複数出た場合、全てを「同時に」直すのが難しい場合もあります。
そこで重要なのが、危険度(深刻さ)だけでなく、事業影響や悪用されやすさも含めた優先順位づけです。

例えば、個人情報に直結する機能・ログイン周辺・管理画面などは、同じ危険度でも優先度が上がりやすい傾向があります。診断結果を開発チームが動けるタスクに落とし込み、段階的に解消していくことで結果的にスピードも品質も上げることができます。

重要なのは「全部やる」より「落とさずに、確実に潰す」運用です。

改修・設定変更・パッチ適用の基本

Webアプリの脆弱性対策はコード改修だけでなく設定変更やミドルウェアの更新が絡むこともあります。
影響範囲が大きい場合はテスト環境での検証、リリース手順の見直し、ロールバック計画なども必要になります。

また、対策を急ぐあまり場当たり的に修正すると、別の不具合を発生させてしまう可能性もあります。診断レポートの推奨対策を踏まえつつ、開発・運用の現実に合わせて手順化し、再発しない仕組みにしていくのが理想的です。

「一度直したら終わり」ではなく、運用の中で安全性を維持するという意識を持つことが大切です。

再診断・定期診断で「穴の再発」を防ぐ

修正が完了したら、できれば再診断を行い「本当に塞がったか」を確認するようにしましょう。
特にWebアプリは機能追加や改修が頻繁に起きるため、過去に直したはずの問題が再発してしまうこともあります。

定期的な診断を行うようにすると、攻撃手法の変化や環境変化に追従しやすくなり、結果的に大きな事故を防ぎやすくなります。
セキュリティ対策を「イベント」ではなく「運用」として定着させることが、長期的には最もコスト効率が良い考え方です。

「今は大丈夫を続けるために、定期的に確認する」
このサイクルがWebアプリ運用では重要です。

DIT Securityが提供するWebアプリ診断

最後にDIT Securityがご提供する脆弱性診断をご紹介します。

報告書だけで終わらせず、改善まで伴走できる

脆弱性診断は見つけること自体よりも「直すこと」で価値が出ます。
だからこそ、レポートが分かりやすいか、改善の進め方がイメージできるかは重要なポイントです。

DIT Securityでは、診断結果の提示だけでなく、優先順位づけや改善提案など次のアクションにつながる支援を重視しています。

まずは対象範囲のご相談から(内部リンク導線案も提示)

Webアプリ診断で迷いやすいのが「どこまでを診断対象にすべきか」。
対象が広すぎればコストが増え、狭すぎれば重要箇所が漏れる可能性があるため、最初の設計がとても重要になります。
まずはログイン機能・会員情報・管理画面など影響が大きい箇所から優先し、段階的に広げる方法もおすすめです。
Webアプリの脆弱性診断を考えていらっしゃる方は、DIT Securityの脆弱性診断をぜひお試しください。

詳しくは脆弱性診断サービスの詳細ページをご覧ください。

脆弱性診断の基本(種類・進め方)を先に押さえたい方は「脆弱性診断とは?企業が今すぐ始めるべきセキュリティ対策を解説」をご覧ください。

まとめ

Webアプリケーションは企業のサービスや業務を支える重要な基盤である一方、入力処理や認証機能など、攻撃者に狙われやすいポイントを多く含んでいます。

こうしたリスクに備えるためには、対策ツールを導入するだけでなく、実際にWebアプリケーションにどのような弱点が潜んでいるのかを第三者の視点で確認することが重要です。
脆弱性診断を通じてリスクを可視化し、優先順位を付けて対策を進めることで、限られたコストやリソースでも効果的なセキュリティ対策が実現できます。

DIT Securityの脆弱性診断では結果の報告だけで終わらせず、どこから対策すべきか、どのように改善すればよいかまでを分かりやすく整理し、初めて脆弱性診断を導入する方でも安心して進められる体制を整えています。

「自社のWebアプリは本当に安全なのか」「どこから診断すべきか分からない」と感じている方は、まずはサービス内容をご確認ください。

執筆者情報

長谷川敬一のプロフィール写真

ITセキュリティ事業部 ソリューション営業部 部長

長谷川 敬一(はせがわ けいいち)

業界歴35年以上。インターネット黎明期より数々の有名サイトの構築・運営に携わる。自身が運営した大規模サイトでサイバー攻撃による被害を経験したことをきっかけに、サイバーセキュリティ分野へ転身。現在は、企業向けにセキュリティコンサルティングや導入支援を中心とした活動を行い、豊富な経験と実績を活かして多くの企業の情報資産を守っている。